患者を相手にするだけではなく、他にも医師にはやるべきことはたくさんあります。疾病や疾患、怪我といったものとも向き合っていかなければならないので、椅子に座っているだけといった仕事ではありません。そしてもちろん進歩し続ける医療の現場にいることから、常に新しい医学を学び続ける姿勢もなければ勤まりません。
そして医師は自分の知識や技術が人の命に深く関わることから、まだ医師になりたてだからといった言い訳は通用しません。そのため研修医には研修医の苦労もあり、ベテランの医師にはベテランの医師ならではの絶えない苦労が存在しています。
医師の苦労に共通しているのは過酷な労働条件です。特に20代の若い医師はベテラン医師や医局の雑用をこなすことが多くあり、1日に12時間以上働いていることも珍しくありません。そしてこれだけ働いているにも関わらず、研修医のうちは給料が少ないことが多く、月で10万円に満たないということもあるようです。
近年ではこのようなことがないよう、厚生労働省によって研修医でも月で30万円以上の給与になるように設定されています。しかし、給与面が改善されることはあっても、なかなか1日の労働時間をコントロールすることは難しく、その過酷な労働条件に苦労することは多いようです。
直接お客さんと触れ合う仕事にはつきもののように、医師も利用者である患者からのクレームによる苦労があります。そして特に病院の利用者は病気を抱えることで不安になるので、この方法で問題ないのかといったことや以前より悪化したといったクレームをダイレクトに受けることがあります。そして患者の中にはすでに治っているにも関わらず薬を求めたり、必要な手術を強情に拒んだりとこちらのアドバイスに耳を傾けてくれないという苦労もあります。
勤務医では病院内が自分の職場となるため、病院での上下関係やポジション争いといった面倒な人間関係に巻き込まれてしまう苦労もあります。教授というポジションは限られた数しかないので、誰がその席に座るのかといった役職に対する願望から競争も激しくなります。
そしてこのような人間関係が形成されている場所であれば、患者のことよりも昇進に関してプラス材料となるような仕事や治療を積極的に行ったりする医師の存在が目についてしまいます。職場の人間関係に多くの人が苦労するのと同様に、医師も職場で人間について頭を抱えてしまうことは珍しいことではありません。